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受け継がれなかった郷土料理

医療法人社団いずみ会北星病院 氏家志乃

 幼いころ余市に住む祖父が札幌の私の家に遊びに来ると、必ずデパートの地下街に買い物へ出かけ「いなごの佃煮」を買っていました。食事時にはそれを美味しそうに祖父は食べるわけですが、どう見ても私にとっては食べものではなく、私が外で捕まえるバッタなのです。緑のバッタが醤油色に変わり果てているのですが、祖父は悦喜の表情でホカホカのご飯にそれをのせて食べていました。「いなごの佃煮を食べる祖父」に釘付けになっている私のお茶碗に祖父は「食べるかい?」とポンと載せてきたのですが、私は食べものと認識できていないため、美味しく食すことは出来ず、「やめて~!!とって~!!」と泣き叫ぶことしかできませんでした。
 先日、佃煮についてインターネットで調べる機会があり色々なページを見ていると、すっかり忘れていた「いなごの佃煮」にたどり着きました。インターネットによる情報では山形県の内陸部、長野県、福島県など海産物が少ない山間部を中心によく食されている郷土料理(日本全国、いなご食の風習があるよう)とのことで、思い起こせば私の先祖は福島会津若松にそのルーツがあるため、それが祖父にまで受け継がれていたのだと思いました。ただ、それは祖父までで息子である私の父が「いなごの佃煮」を食べる姿は見たことがなく、もちろん我が家の食卓にも上がることはありませんでした。
 私の職場には山形出身の同僚がいるのですが、同僚曰く「少し独特の苦みはあるけれど、小魚などの甘露煮とかわらない」と風味やその感想を教えてくれました。食を生業としている私なので、幼き頃は恐ろしく感じた「いなごの佃煮」を食べず嫌いで終わらせず、これを機に思い切って食べてみようかと思ったのですが、恐らく「一つ(一匹)売り」はしてもらえないと思うので、何方か一緒に食してくれる方を募って味わいたいと思います。ご一緒にいかがですか?


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