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漬物雑感

地域活動栄養士協議会 星川ミチ子

 専業主婦からフルタイムの仕事を20年余りしてきました。
 最初の頃は、お天気がいい日は「洗濯物がよく乾くだろうに」「家に帰って布団を干したい」など思いましたが、働くことは時間を拘束されることだと気づきました。
 そのうち、仕事も忙しくなり、道内出張が加わると知らない街へ行く楽しさが顔に出るのか同僚から「仕事だからね」と言われるなんとも暢気な主婦栄養士でした。
 栄養士一人の職場でそれなりに悩みはありましたが、仕事での達成感は専業主婦では味わえないものだったように思います。
 先日、北海道新聞に漬物のコンテストである「T-1グランプリ2012」で「TaKu-1グランプリ」日本一になった札幌の方が載っていました。たくわんに白ゴマと黒ゴマを使うアイデアのすばらしさに大変感心しました。
 振り返ってみると、仕事を理由に手抜き家事をしていた私ですが、唯一漬物だけは夫の要望もあり毎年漬けていました。
 夫は漬物上手の姑の影響からか、独身寮に入っていた時も調理のおばさんに漬物だけ余分にもらっていたと言います。姑が54歳で急死した時、物置きには二度漬けされたきゅうりの粕漬けが残され、夏になっても変わらない味はべっ甲色した奈良漬けのようでした。粕の量が半端でなかったことが理解できたのは随分後のことです。
 化粧品のセールスをしていた姑は、忙しい中でも手間とお金をかけて美味しい漬物を漬け、お客さんや友人・知人に喜ばれていたようでした。
 ところで、私の漬物は手間ひまをかけずに作るニシン漬け、うらなりカボチャも入れる粕味噌漬け、唯一まともな赤カブの千枚漬けなどです。
 ここ2~3年の間に相次いで亡くなった私の父母が元気な頃は、畑で採れた野菜を週末取りに行き漬けていましたが、最近は、申し訳程度の手伝いを口実に弟の作った大根をもらってきて漬けています。食べたい一心の夫は大根洗いなど手伝っていましたが、昨秋は弟の畑まで大根の収穫に行き、洗って皮をむき、下漬けまで一人でこなしました。
 塩加減や本漬けは私の出番ですが、食べたかったら自分も動くのは私の手抜き家事のおかげのようです。
 昨年、札幌で起きた漬物が原因の大きな食中毒は、日本人の食文化として伝わっている漬物が安全・安心で食べられなくなっていることを教えてくれました。現在の漬物のほとんどは発酵食品とは言えないものだとか・・・時代と共に暮らしが変わり、食べるものが変わってきていることを食に関わる者として敏感でいなければと思います。


 栄養相談では「漬物の塩分に注意しましょう」と言いながら、樽から上げたばかりの漬物と温かいお茶の美味しさは小さい頃に刷り込まれた味覚、それとも日本人のDNAでしょうか。相談でお会いする方々それぞれの食文化を大事にしながら健康も考える、栄養士の仕事は奥が深いですね。


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