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「私の素」

留萌支部 布目祥子


 私が食に関する仕事を選んだ理由はただひとつ。「食べることが好き」ということです。食べることが好きな両親に育てられた私(兄弟も同様に)が食べることを嫌いになる訳がありません。
 父の収入だけで3人の子どもを養うというのは大変だったと思います。高級食材が出ることはありませんでしたし、節約のためできる限り手作りで、外食をすることも殆どありませんでした。
 当時は当たり前だと思っていましたが、我が家の食事はちょっと変わっていたようです。天ぷらやフライなどの揚げ物は、床に新聞を敷き、油の入った鍋を囲んで自分たちで揚げながら食べる(今思えば危ないですね)。ハンバーグやステーキ(もちろん豚肉)の時には、ご飯はお皿に盛り、フォークとナイフで食べる。年に1回、お寿司屋さんに行ってカウンターでお好みのお寿司を握ってもらうというのが代表的なところでしょうか。
 時代背景もありますが、焼き芋はストーブの中に、けんちん汁や豚汁はストーブの上で作るということもしていました。お菓子は買ってもらえず、おやつは白玉だんごや芋・南瓜のお団子。リクエストすると「作ってみたらいいじゃない?」と自分で作る羽目になることもしばしば。そのお陰で作ることも好きになり、高校3年間のお弁当は自分で作って行くこともできました。食事のときはテレビを消され、寝坊をしても朝ごはんを食べないと学校には行かせてもらえない、ダイエットなんてとんでもないと叱られたこともありました。割りばしの袋は折って箸置きにするなんて、素敵なことも教えてもらえました。我が家は食べることに関しての思い出話がつきません。
 自分は勿論、人にも美味しいものを食べてもらいたい=調理師になりたい…そう思っていた私が栄養士を目指すことになったきっかけは「おいしいものを食べて、健康管理ができるっていう仕事もすごいじゃない?」という母の一言でした。
 栄養士になり、保育園で約10年、現在は行政栄養士として業務を行っていますが、こちらも10年を過ぎました。対象者が「乳幼児と親」から「地域住民」と幅広くなり、頭を悩ませることも多いですが、「食べることはとても大切で、楽しいこと」と伝えられたら…と、どの年齢層にもそう接していけたらと思っています。実際は、なかなかうまくいきませんね。
 「食べることが好き」になるような環境を作ってくれた両親への感謝と、母のひと言を大切に、これからも食べることの大切さと楽しさを伝えていきたいと、少し格好つけて私のつぶやきはおしまいにしたいと思います。


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