第3セッション
演題 2
褥瘡と嚥下障害を有した一症例
発表者 ○山内 さおり、杉山 佳子
(JA厚生連網走厚生病院栄養科)
【はじめに】当院では平成18年3月よりNSTが立ち上がり、発足当時より皮膚科入院の褥瘡患者様は自動的にNST介入となっている。今回、褥瘡と嚥下障害を有した症例を経験したので、当院におけるNSTの現状や褥瘡委員会の活動も交えて報告する。
【症例と経過】84歳 男性 主病名 仙骨部褥瘡 仙骨部の発赤・発熱のため受診、皮膚科入院なった。入院当初はU度の水泡びらんだったが、見た目以上に深く、ポケットを形成していた。褥瘡は改善しつつあったが、徐々にむせこみ・食事量の低下が見られ、造影検査を行った結果、嚥下機能の低下が確認された。その為、嚥下訓練等を目的に内科へ転科となったが改善には至らず、外科的胃ろう造設を行った。経過は順調であったが、退院間際に誤嚥性肺炎を起こし栄養再開→中止を繰り返した。その後、褥瘡は治癒し、経腸栄養について家族への指導も終了となり退院となった。
【まとめ・考察】嚥下機能を評価した上で、理学療法士による訓練等を行ったものの改善には至らず経口摂取が困難となった症例であった。しかし、NST介入となったことで、状況にあわせた食事形態・栄養量の変更が可能であり、褥瘡の治癒に対して多少なりとも関与できたと考える。又、カンファレンス等を重ねることで、患者様の問題点や今後の目標を病棟スタッフだけでなく、多職種で共有することが出来た。
栄養管理加算の実施、NSTや褥瘡委員会の活動の中で栄養士が病棟に出向いて活躍する場所はどんどん増えてきており、様々な症例を通して学ぶことは非常に多い。今後も他職種との連携をとりながら、質の良い医療・栄養療法の提供が出来、良い結果に結び付けられるよう努めていきたいと考える。
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