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「イギリス留学で気付いた栄養学の重要性」

函館市医師会病院 管理栄養士 田島 千鶴


 私の幼い頃の夢は看護師になることでした。大学も看護学部を受験しましたが結果は不合格。浪人を考えていた時、受験した大学から栄養学部の案内が届き、家族や高校の先生と相談し入学を決めました。入学後も自分が栄養士に向いているのか分からず、モヤモヤした気持ちで過ごしていました。そんな中大学1年生の冬に栄養学と語学の習得を目的としたイギリス留学に参加することになり、そこでの経験が、私の栄養に対する考え方を変えることになりました。
 イギリスでは現地の栄養士さんからお話しを伺う機会があり、その中で小学生に対し食育の授業をするジェイミー・オリヴァー(イギリスの料理研究家)のDVDを鑑賞させていただきました。ジェイミーが子供たちに野菜を見せ、その野菜の名前を答えてもらうというシーンがあったのですが、ほとんどの子供達は答えられていませんでした。なぜ答えられないのか、そこにはイギリスの食習慣が大きく影響していると、現地の栄養士さんは言います。イギリス人はほとんど料理を作らず、食事は冷凍食品や加工品が多い傾向にあります。留学中にも、ホームステイ先から貰う昼食がポテトチップスとリンゴという人がいました。イギリスでは基本的に料理は出来上がった状態がほとんどなので、調理前の食材を見ることはありません。そのため子供たちは目の前にある料理に入っている食材を見たこと無く、野菜の名前や形が分からなかったのです。子供だけではなく親も同じような食生活で育っているため、栄養に関する知識は乏しく食事改善は難しいのが現状のようです。DVDの中でジェイミーは 「手で簡単に食べられるジャンクフードばかり与えず、フォークとナイフを使う本物の食べ物を子どもに体験させるべき。」と言います。現地の学校給食には冷凍ピザやフライドポテト等高エネルギーのものが多く提供されており、バランスは良い物とは言えませんでした。イギリスと比べて日本では、子供の頃から教育の一環として学校給食が位置づけられていたり、食育を通して食材や栄養の知識を学ぶ機会が多いことを考えると、正しい栄養の知識や情報を得ることが将来の健康に繋がる大切なものであったことが理解できます。この経験をきっかけに私は栄養学に興味を抱き、食のスペシャリストである管理栄養士を目指すようになりました。また、その後の病院実習で栄養指導を見学し、患者様に合った指導を行うことで行動変容に繋がり、患者様の病態改善に繋がることに魅力を感じて病院で働くことを決めました。
 私が当院に勤めて1年11ヵ月が経過しました。最初の頃は全てが初めてで、何をするにも不安でしたが、職場の皆さんのサポートのおかげで仕事にも慣れてきました。まだまだ未熟な部分が多く仕事で悩むこともありますが、患者様から「今までで一番分かりやすい指導だったよ!」「先生のおかげで数値下がった!」等嬉しい言葉をかけてくれる方もおり、少しずつ自分の仕事に自信を持てるようになりました。
 大学受験に失敗したことがきっかけで管理栄養士という職に出会い、そして現在病院の管理栄養士として働いています。このような未来を学生の頃は想像もしていませんでしたが、私は今この仕事が出来ていることを誇りに思っています。人生どこで何があるか分からないものですね。これからの人生を楽しみながら、今後も患者様に寄り添った管理栄養士を目指して精進していきます。


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