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『忘れえぬ味』

網走支部長 後藤田 倫子

 人生60数年、色々な料理を作り、色々な料理を食べてきました。
 先日、アメリカ人とトークする機会があり、その時に食べ物の話になり、大好きな食べ物は何かと問われ改めて思い出しました。1番美味しいと思い覚えている味は、ベトナムで食べたフォーと茹でたカニ!
 10年ほど前、北海道新聞社北見支店のお誘いで、ベトナムに行く機会を得ました。北見市在住の方が、ベトナムに資材を投げ打ち小学校を建てる、ベトナム政府に資金を渡してもちゃんと届かない、ついてはそのお金を直接ビン・ハ村に届けようとの呼びかけでした。開校式で私たち訪問団は旨を打たれました。きちんと整列して迎えてくれた、少しはにかんだような笑顔ときらきら輝く瞳がありました。今の日本では失ってしまったと思える目の輝き。その頃ベトナムは、貧困にあえいでいました。学校に通える子どもは全体の2割程度、それも半日だけ。後の半日は、大人と一緒に労働力として使われていました。長い戦争が終わり、ドイモイ政策が定着し市場経済化が進む一方で、貧富の差が拡大し国内で「ストリートチルドレン」が多く生まれている時代でした。その時代、日本の小学生たちの問題は登校拒否児童が増え始め、いじめが問題になっている頃でした。
 ハノイにあるタンロン大学の学生とも交流しましたが、彼らは異口同音に「これからのこの国のことを考えると、日本語と英語を覚えることは不可欠です。どうぞ日本語を教えてください」と迫ってきました。ここでもすでに、日本の若者が失ってしまったものを見た気がしました。額に汗することをしなくなってしまった日本の子ども・若者。21世紀はアジアの時代になると確信し、しかしそこには、日本がリーダーシップをとっている姿は想像できませんでした。
 貧乏な学生たちと一緒に食べたフォーの味は格別でした。その後も色々な海外旅行を楽しみましたがフレンチ・イタリアン・京都の会席・・・。
 でも、どれも印象に残っていないのです。味は「背景があって忘れえぬ味」になるのだと思うのです。現在、地域活動で高齢者や学生に「食」についてレクチャーする機会が増えています。いかに伝えられるか、忘れえぬ印象を残す仕事が出来るかと・・・。



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