栄養士のつぶやき No.8

七夕の願い事

社会福祉法人緑誠会 特別養護老人ホーム  愛輪園  加藤 幾子

こんな春に何故七夕?と思われるかとおもいますが、
特養に勤務してはや13年、毎年七夕の季節になると利用者の方々が思い思いの願い事を短冊に書き込み、笹や柳につるします。
“何が書いてあるのかしら”と思い読んでみると、「美味いものが食べた―い」「○○が食べた―い」など、食べたい事や食べ物に関する事のなんと多いことか・・・毎年その季節になると、“普段から美味しい食事を提供してないって事?”と落ち込んでしまうと同時に高齢者にとって食事が日々の生活での楽しみや喜びの大きなウエィトをしめているんだなぁと痛感します。なにしろ年に一度のお願い事が食事ですから。

と、いうわけで利用者の方に楽しく美味しい食事を提供しようと日々、献立内容や食器、食堂の雰囲気作りなど栄養士として何が出来るのか?を考え改善していくのですが、そんな中で口の中の健康も美味しく食べる為の大切な要因だと実感しています。
入れ歯が合わないので痛い、虫歯が痛いなど口の中の環境が悪いと、せっかくの美味しい食事も台無しになってしまうからです。又加齢による嚥下機能や咀嚼機能の低下もあいまって、食べたいけれど食べられない方も多くなってきているように思います。
歯科医師に適切な治療をしてもらい、歯科衛生士に嚥下体操や正しい歯磨きを教えてもらい口の中が晴れ晴れしたら、食事もいっそう美味しく感じるはずです。歯科衛生士の方に教えていただいた食事前の嚥下体操は舌を出したり引っ込めたりと表情も面白く、皆さん笑ったり照れたりしながら行っています。
それほど、ひどい嚥下障害で無い方はこれだけでもとても食べやすくなるようです。又食堂の雰囲気も和やかになり一石二鳥です。

高齢者にとって口から食べることは日々暮らしていく上での大きな楽しみであり、生きがいといっても良いかもしれません。その食の専門家である栄養士という仕事の重みを感じつつ他職種との協力を更に密にして、“楽しく美味しく口から食べよう” を合言葉に、今年は短冊に“美味しい物食べたーい”と書かれることのないようよう努力している毎日です。



紹介者:大学生活協同組合連合会北海道地域センター 管理栄養士 室田 恵


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